Maekazuの社会学

社会学を学ぶ大学生が、その時々思ったこと自由にを書きます。

イスラムは悪くない

http://www.tokyocamii.org/…/%e3%82%a4%e3%82%b9%e3%83%a9%e3%…

リンクは一連のテロ事件にかんして出された東京ジャーミーによる声明です。

声明は、クルアーンの「人を殺した者、地上で悪を働いたという理由もなく人を殺す者は、全人類を殺したのと同じである」(食卓章第 32 節)を引用して、問答無用に人の命を奪うことはイスラムの教えに反していると強く主張しています。

東京ジャーミーは、1917年のロシア革命によって日本に逃れてきたトルコ系のムスリムたちが建てたモスクです。小田急線が代々木上原を通過するときにミナレットが見えます。...
僕は3年前のフィールド実習で、このモスクにインタビューに行きました。17世紀のオスマン様式で建てられたとても美しいモスクで、首都圏のムスリム社会の中心的な場所です。

桜井啓子の『日本のムスリム社会』(2003)によると、東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏に住むムスリムは約18000人(データの出典が入管協会の『在留外国人統計』で、登録されている外国人のみの数字なので、実際はもっと多くの人が滞在していると考えられる)で、金曜日になると、500人を超える人が集まるというお話を聞きました。

政治的な主張を行うのに暴力のみで訴えることは、イスラム教の教えにも、7世紀以降、現在まで築かれてきたイスラム社会のあり方にも反しています。このことを、イスラム教のあるこの世界に住むわれわれは認識すべきだと強く思いました。

また、声明からは、テロに対する抗議とともに、十把一絡げにイスラム=危険とみなされることへの懸念も読み取れます。こうしたステレオタイプによる思考停止に陥らないためにも、ここ数十年で、宗教的な意味づけがされたテロ行為が頻発している背景を理解するべきだと思います。

島国であることと江戸幕府による鎖国の影響(?)で、同質性の高い社会に生きる日本人のなかにも、約10万人のムスリムが暮らしています。こうした少数者にたいしての無関心やステレオタイプは、無神経と構造的暴力につながってしまうものだと思います。

ここから自分のテーマと関連付けて、脱原発=左翼とか、9条改正推進派=ネトウヨのような、ステレオタイプによる思考停止は、公共性において形成される人々の意思を、唯一の正統性の源泉とするべき、民主的な法治国家の存立を脅かすものだと危惧します。こうしたステレオタイプに陥らないためには、ジャーナリズムと学問の世界とが少数者の意見を代弁するべきだと思います。僕はそういうものを担っていける人間になりたいです。