Maekazuの社会学

社会学を学ぶ大学生が、その時々思ったこと自由にを書きます。

About Comfort Woman

従軍慰安婦について思ったことを記録しておきます。最近、2本の論考を読みました。

 

ひとつめは、冷泉彰彦氏のコラムです。(朝日「誤報」で日本が「誤解」されたという誤解 | 冷泉彰彦 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

この論のロジックは、以前僕がこのブログで書いたことと少しだけ似ています。――日本は戦後、新たな国家として生まれ変わったのか?

 冷泉氏によると、少なくとも国際社会は太平洋戦争を起こした「枢軸国日本」と、現在の「日本国」は別の国であると考えいます。ゆえに、朝日新聞の誤報によって、朝鮮半島の女性を日本軍が強制連行した、という誤った情報が広がってしまっても、日本国が受けるダメージなんてものは無に等しいという考え方です。産経新聞や読売新聞などの保守メディアは、大々的な「朝日叩き」キャンペーンで、訂正と謝罪を要求しました。また、国際社会へ向けて弁明をするべきだと主張していました。しかし、これは逆効果だと冷泉氏は言います。必要以上に慰安婦問題の弁明をすると「枢軸国日本」と「いまの日本国」は連続した、同じ国家であると、われわれ2014年の日本人が主張していることと同じことになってしまうからです。ここまでが冷泉氏の論考の論点のまとめです。

たとえば、これまで明らかにされてこなかった、ナチスの非人道的な振る舞いの証拠が新しく出てきたとしましょう。そのことで、現在のドイツ人のイメージは悪くなりますか?逆に、メルケル首相が、ヒトラー政権のホロコーストについて、ナチスをかばうような発言をしたらどう思いますか?

 

ふたつめです。

Is the Asahi a scapegoat of nationalist media or victim of own missteps? | The Japan Times

The Japan Timesの論考で、今回の論争の「吉田証言」について指摘されています。

ほとんどの韓国人は、吉田証言の存在自体を知らないし、従軍慰安婦関連の活動をしている活動家は、その信憑性が疑わしいことを知っている、と書かれています。

韓国を含めた国際社会の注目する点は、強制連行だったか、民間業者の斡旋だったか、ではないのです。それなのに日本だけが、吉田調書の瑣末な部分に異常な執着を見せるのは何故でしょうか。

He noted that a certain newspaper — apparently the Sankei — distributed a massive number of leaflets that were critical of the Asahi and calling on readers to subscribe to the Sankei.

池上彰氏が9月18日の週刊文春に投稿したコラムによると、産経新聞は、朝日批判の大量のリーフレットを配布し、読者に購読を呼びかけている」と最後から2番目の段落に書かれています。

 

保守系のメディアは商業的な理由から、論点のずれた「朝日叩き」を盛り上げ、安っぽいナショナリズムを煽っているように思えます。主にウェブ上で横行している反・中国、反・韓国のヒステリックな民族排斥的言論を見るのは非常に不愉快です。もちろん、誤報の批判を他の新聞社が再検証を行いつつ掲載することは、その問題が民主主義を支える議論の内容として有意義であるならば、歓迎すべきことでしょう。読売新聞や産経新聞が売り上げを伸ばすために、誤報批判の範疇を超えた、朝日新聞批判を行っていて、その商業的で恣意的な報道で、上記の民族排斥的ナショナリズムが煽られているのならば、そんなジャーナリズムは遅かれ早かれ滅びるでしょうし、滅びるべきです。

 

P.S

最近は毎日、3紙の新聞を読むように心がけています。偏らないために(!)朝日と読売、それと大学で配られているThe WallStreet Journal、たまに毎日新聞も無料配布されているのでその日は4紙。今日はThe Japan Times を読む機会があったので引用してみましたが、WSJ的英文に慣れているのか、ちょっと読むのに苦労しました。新聞によって語彙が違うんですかね(英文の難易度の差はほとんどの場合、語彙の差だと思うのだ)。