Maekazuの社会学

社会学を学ぶ大学生が、その時々思ったこと自由にを書きます。

ISISについて思うこと

 数週間前、イスラム過激派の問題は日本社会においてはリアルになり得ないと、ツイッターで発言した翌日に、北大生がISISに参加するための準備をしていた罪で捕まったことがニュースになった。

 少し外に目を向ける。BBCによると、15歳のごく普通の少女が家出をし、飛行機に乗ってイスタンブルに向かったとされるニュースがある。世間はISISのジハードに参加するのだと当然のように推測し、それに対して、残された家族はひどく苦しんでいる。(

BBC News - Missing Yusra Hussien: Family appeal over Syria case teenager

 

 これらのニュースで、村上龍の『希望の国エクソダス』を思い出した。中学生たちがパキスタンへ向かい、日本社会からの「脱出」を図るという社会現象から話がスタートする。『愛と幻想のファシズム』の21世紀版と言える大作であろう。

 僕は高校2年生の時にこの本を読んで、学校からのエクソダスをした。この時期は、クラスの、想像力の致命的に欠如した一部のメンバーとそりが合わずとにかくつまらなかったのだ。降りる予定の駅で電車を降りずに乗り続け、北千住を過ぎたあたりからガラガラになった電車を、当時の業平橋駅で降りた。スカイツリーが半分くらいまで空に向かって伸びていた。まだ展望台はなく、巨大な台形のオブジェみたいだった。小一時間それを眺めたあとに、急行電車に乗って急いで帰った。数学の授業があり、少しでも遅れると、加法定理や指数法則の理解に深刻な影響を及ぼすからだ。

 イスラム過激派の問題は、海の外だけの問題ではなくて、日本国内にもあるのではないかと思う。反米的な思想を持つ研究者は、条件反射的にイスラム過激派の擁護・支持をしてはいけない。「反権力を好む」研究者はひじょうに多いが、オウム真理教はこの研究者の反権力志向を教団の宣伝のために利用し、一連の事件後、宗教社会学界に多大なる反省を残した。

 ぼくは社会の「アヤシい」ものに近づく研究がしたいと考えているが、問題や制約はたくさんありそうだ。先人たちの苦労からも学んでいきたい。