日本の観光地
前回のエントリーでも宣言してたので福岡・長崎旅行について。
後期末試験が終わったその足で羽田空港に集合し、
夜には福岡空港に降り立った。コートはいらない。
実は九州上陸は初で、夜の天神を歩きながら、
こんなに暖かい場所なのかと感嘆していると、
博多弁の女の子たちが「今日、ばり暖かいね」とか話してた。
そうか、福岡の人にとってもばり暖かい夜なのか。
天神は池袋の北口を拡大コピーしたような場所だった。
ゆえに第一印象は最悪だ。
もし、この地区だけを観光しようものなら、
福岡はとてもガールズバーが好きなまちだと思われても仕方ないだろう。
また、コインパーキングには「ベンツお断り」の看板が。
あの福岡名物手榴弾配布グループの対策だろうか?
旅の目的は長崎だ。
路面電車と高低差のある港町で、ぼくとしてはかなり好きだ。
規模もちょうどいい。大企業に就職すれば、初めの何年かは
地方都市に配属されるのだろうが、それもなかなか魅力的である。
路面電車は東京にも都電がある。
合わせて210kmくらいの輸送距離は、大手町から30kmも行けば国立市まで行けることを考えると、細部まで行き渡る市民の足であったことは想像に難くない。
しかし、1972年以降は荒川線しか残っておらず、
210kmのうち、180kmの路線が廃止されたのだから、
今日においては、市民の足として別段大きな役割を担っているわけではない。
そもそも地下鉄が植物の根のように各地張り巡らされている世界一の鉄道都市、東京であるから、もう飽和状態であるともいえるが。
無条件で憧れるモダニズムの象徴だからだろうか。
東京の場合、馬車鉄道の次はもう路面電車、それを駆逐したのは地下鉄だ。
万年筆を愛用し、中・高時代は懐中時計に憧れた僕はレトロスペクティブの性があるようで、好きなのはやはり路面電車である。
というわけで、長崎が魅力的だった理由のひとつは路面電車だ。
僕は首都近郊の名もないベッドタウンに生まれ育った。
そこにはかつて、確かに歴史があったが、すべて巨大都市東京の波にのまれ、
鉄道や幹線道路などのインフラを通じて、徐々に表面を変質させられた。まるでクレームブリュレみたいに。
それぞれの故郷を持つサラリーマンたちは、こぞって見知らぬ土地に家を建て、愛する人と家族を作った。
車で20分も走れば、東西南北どの方角にもイオン・ショッピングセンターがある。似たようなまちはどこにでもある。ホモジェネラス・カントリー。
故郷がある人が羨ましく思えた。それが今回の旅行総括だ。